なぜハーバード・ビジネス・スクールでは営業を教えないのか?/フィリップ デルヴス ブロートン/プレジデント社

営業、あるいは売り込みに関する様々なストーリーを集めた本、と言ったところか。ちなみになぜHBSで営業を教えないのかの答えは無い。これって良くある権威を引用した書名の付け方だなぁ。著者が本文で意図するところと書名がずれてるもの。米国版の書名は『Life's a pitch』だそうで、そっちの方が内容を正しく表してる。
 
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「演技ができなきゃ、誰も一秒だって世のなか渡っていけないだろうよ。演じるってことは生存本能みたいなもんさ。人づきあいの潤滑剤なんだ。だから、みんな生きていくために日々演じてる。本心を隠したり、思ってもいないことを口にしたり、感情を偽ったりして、毎日嘘をついてるんだよ」
 
プレゼンテーションと物語、そして顧客のほしがるものを理解する能力。それらを通してマジードは価値を創造し、平凡な土産物屋には夢のまた夢のような値段をつけることができるようになったのだ。

 

ドナルド・トランプがセールスマンにこれほど賞賛されるのは、彼が成功者だからではなく、成功し、失敗し、そしてもう一度這い上がってきたからだとラパイユは言う。彼を馬鹿にする人は多いが、ヒーローだと思う人はもっと多い。一度は破産したが、ふたたび富を築いた。みんな彼の髪型を笑うが、それでも彼には美しい妻がいる。セールスマンがトランプに憧れるのは、彼が逆境を跳ね返したからだ。そのストーリーが、繰り返し話題にされ、人々を勇気づけるのだ。
 

偉大なセールスマンにはさまざまなかたちがあることをこの本で示すことができたなら本望だ。これが正解だと言える一定のかたちはない。セールスマンに共通の特徴は、打たれ強さと楽観主義だ。だがそれを別にすれば、お金がやる気につながるセールスマンもいれば、自分たちに閉ざされた世界の壁を破るための効率的な方法としてセールスを仕事にする人いる。

 

 

なぜハーバード・ビジネス・スクールでは営業を教えないのか?

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